１９２８年に設立されたオランダのトラック・メーカー、ＤＡＦは
１９５８年に乗用車の生産を開始しました。
ＤＡＦ５００と名付けられた最初の車は、現在のＣＶＴのルー
ツである無段階変速機（ヴァリオマティック）を採用するなど革
新的な機能を搭載したリア・ドライブの小型乗用車で、その後
エンジンの排気量アップやボディのグレード・アップなどが図ら
れて１９６７年にＤＡＦ３３に改称され、１９７５年まで生産が続
けられました。
一方、５００より１ランク上のクラスとして、ミケロッティがデザ
インしたボディに８４４ｃｃのエンジンとヴァリオマティックを搭載
したＤＡＦ４４が１９６６年にデビューしました。
さらに翌１９６７年には、ルノー製１１０８ｃｃエンジンを搭載し
たＤＡＦ５５がデビューしました。ＤＡＦ５５には２Ｄセダンのほか
クーペやステーション・ワゴンも登場し、好評を博しました。
この頃の欧州自動車メーカーは、モータースポーツでの活躍
が販売促進に繋がることからラリー参戦に積極的であり、ＤＡ
Ｆも４４で１９６７年モンテカルロ・ラリーに初出場しました。
非力な小型車ながらもこの年は総合７５位で完走を果たし、
翌１９６８年も同じくＤＡＦ４４で総合４３位、そして１９６９年から
はマシーンをＤＡＦ５５に変更して総合１９位完走と着実に結果
を残しました。
１９７０年も総合２４位、翌７１年はリタイアに終わりましたが
１９７２年は総合１８位・クラス優勝を飾り、１９７３年はＤＡＦ６６
で総合３０位となるなど、同クラスのルノーやシムカと互角に
戦う活躍をみせました。なお、ＤＡＦはモンテカルロ・ラリーだけ
でなく、ツールド・コルスやツールド・フランスにも出場していま
した。
モータースポーツにおける活躍により知名度は上がったもの
の、この時期ＤＡＦは経営難に陥っており、１９７０年代に入る
とボルボの傘下となりました。
これを機に主力のＤＡＦ５５は１９７２年９月にシャーシ、ボデ
ィ、エンジンを一新したＤＡＦ６６に発展しました。ＤＡＦ６６には
ルノー製１２８９ｃｃエンジンを搭載した１３００マラソンが追加さ
れ、２Ｄセダン／クーペ／３Ｄハッチバックがラインアップされま
した。
１９７５年には乗用車部門がボルボに吸収されたため、ＤＡＦ
６６はボルボの管理下で各部に手直しを受け、１９７５年９月に
はボルボ６６（クーペは廃止）に改称されました。なお、従来か
らのモデルであるＤＡＦ３３とＤＡＦ４６（４４の発展型）は同時期
に姿を消し、乗用車からＤＡＦの名が消滅しました。
６６は、ボルボ唯一のリア・エンジン搭載車として１９８０年ま
で生産が続けられ、ＤＡＦとボルボが共同開発したボルボ３４３
に後を譲りました。これにより、１９５８年から始まったＤＡＦ製
乗用車の生産は幕を閉じることとなりました。 |
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