１９６６年１月にデビューしたフルビア・クーペのラリー・バ
ージョンがこのクーペ・ラリーＨＦです。エンジンは伝統の狭
角Ｖ４で、デビュー当初は１２１６ｃｃでしたが、その後１２９８
ｃｃ（１．３ＨＦ）を経て１９６８年に最強版１５８４ｃｃ（１．６ＨＦ）
となり、ワークス仕様は１６０ｈｐという高出力を発生しまし
た。なおＨＦ（High　Fidelity’高い忠誠心’）は、１９６３年２月
にプライベーターのランチア・ドライバーにより結成されたセ
ミ・ワークスチーム’ＨＦスクアドラ・コルセ’というチーム名に
端を発しており、ランチアはフルビア・クーペＨＦによるラリー
活動をこのチームに託しました。ちなみに、このチームのドラ
イバーには、その後のランチア・ワークスを率いるチェザー
レ・フィオリオが在籍していました。　　　　　　　　　　　　　　　
　ＨＦスクアドラ・コルセは、ランチアの期待に答え、数々の
勝利をあげ、ランチアのワークス・チーム’レパルト・コルセ・
ランチア’に発展し、フルビア・クーペ・ラリー１．６ＨＦで参戦
した１９７２年のシーズンにおいてはメイクス・タイトルを獲得
翌７３年もＥＲＣ（ヨーロッパ・ラリー選手権）チャンピオンを獲
得しました。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　１９７４年になるとランチアのワークス活動はストラトスに移
行し、１０月のサンレモ・ラリーがワークス・フルビア最後の
ＷＲＣとなりました。