１９６７年６月、フォードはヨーロッパにおける系列会社を
統括すべく、ヨーロッパ・フォードを設立しました。それまで
各国独自で開発していた車種を一元化することにより合理
化を図るためであり、イギリスとドイツで共同開発した最初
のモデルとして、１９６９年１月カプリは登場しました。
コンセプトは本国アメリカで大ヒットしていたマスタングを
模したもので、１．３～３．０リッターに至る数種類のエンジ
ンや様々なボディ・グレード、そして豊富なオプションが選
べるスペシャリティーカーとして好評を博しました。
１９７０年、フォードはこのカプリとエスコートをモータース
ポーツ活動に投入することを決め、カプリはドイツ・ケルン
のコンペティション・デパートメントが開発を担当して主にツ
ーリングカーレースに、エスコートはイギリス・ボアハムの
コンペティション・センターが中心となり主にラリーに参戦
することとなりました。コンペティション用のカプリは２６００
ＧＴのＶ６ ２５５０ｃｃをベースにイギリスＦＡＶＯがストローク
延長・インジェクション化を図り２６２７ｃｃ１５０ｐｓにチューン
して搭載、さらに軽量化を施したＲＳ２６００ＬＧがグループ
２ホモロゲーション・モデルとして製作されました。
ツーリングカーレース用のグループ２ワークス仕様は、排
気量をさらに２８７０ｃｃに拡大して圧縮比を上げ２８５ｐｓに
パワーアップされ、ヨーロッパ選手権においてＢＭＷ等と
デッドヒートを繰り広げました。そして１９７１年シーズンは
ＥＴＣドライバーズ・タイトル、翌１９７２年はメイクスと合わ
せてダブル・タイトルを獲得し、その後は年を追う毎に激化
するパワー競争により、１９７４年にはコスワースで製作さ
れた３４００ｃｃ４１０ｐｓを発揮するエンジンを搭載したモン
スターマシーンにまで進化しました。ところが前年に勃発
したオイルショックの影響でＥＴＣ自体が縮小され、１９７５
年フォードはワークス活動を中止することとなりました。
このように当時のツーリングカーレースを席巻したカプリ
ですが、本国ドイツではプライベーターの手によりラリーに
も参戦しました。中でもＪ・クライン率いるチームは、ドライ
バーに若き日のＷ・ロールを起用し、ドイツ国内選手権や
ヨーロッパ選手権ラリーで好成績をあげています。また、
公道とサーキットのミックス・イベントであったツールド・フラ
ンスや一部のターマック・ラリーにおいてもその勇姿を見る
ことができました。
市販車のカプリはその後、１９７４年２月にモデルチェン
ジを受け、２代目に生まれ変わりましたが、オイルショック
の影響もあり、コンペティション・マシーンが製作されること
はありませんでした。 |
ＧＡＬＬＥＲＹ
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