オペルの新しいミドルクラス・カーとして初代アスコナ（Ａ）
は１９７０年１０月にデビューしました。基本コンポーネンツは
同年に登場したスペシャリティーカー'オペル・マンタ'と共通
で、エンジンについては当初SOHC１５８４ｃｃ（６８ｐｓ）のみで
したが、翌年からは１クラス上の１８９７ｃｃ（９０ｐｓ）を搭載し
たＳＲが追加されました。当時モータースポーツ活動を重視
していたオペルは、このアスコナをカデット・クーペ（Ｂ）の後
継車として主にラリー・フィールドに投入しました。ＳＲをベー
スに製作されたグループ２仕様は、ツイン・チョーク化等によ
りチューンしたエンジンを搭載、ボディはブリスターフェンダー
装着によりワイド化され、各国のディーラー・オペル・チーム
（ＤＯＴ）の手によりラリーに積極的に参戦しました。
中でもスウェーデン・チームはドライバーに若き日のＢ・ワ
ルデガルドやＡ・クーラングらを擁し、度々上位入賞を果たし
ました。また、新機構ＰＲにも積極的で１９７３年モンテカル
ロ・ラリーにはオートマチック仕様を投入する試みも行われま
した。また、イタリアのコンレロの手によりチューンされたマ
シーンが南欧各地のラリーで活躍しました。
１９７３年にはこの年から制定されたＷＲＣ参戦に向け、ワ
ークス・チームとしてオペル・ユーロ・ハンドラーが結成されま
した。ワークス・ドライバーの１人にはＷ・ロールが抜擢さ
れ、同年はＥＲＣで５勝しドライバーズ・ランキング２位となり
翌１９７４年は６勝を挙げドライバーズ・タイトルを獲得、さらに
１９７５年はＥＲＣのほかＷＲＣ数戦にも出場し、アクロポリ
ス・ラリーではロール自身初、そしてアスコナ（Ａ）で唯一の
ＷＲＣ優勝を飾るなどチームに貢献しました。
このように国際ラリーにおいて成功を納めたアスコナ（Ａ）で
すが、１９７５年８月にはカデットの高性能版であるＧＴ／Ｅが
登場し、ラリー活動のベースをこの車に変更することとなり、
またアスコナ自体も同時期にＧＭのグローバル・カー構想に
よる２代目に生まれ変わったため、初代アスコナ（Ａ）による
ワークス活動は終焉を迎えました。 |
ＧＡＬＬＥＲＹ
|