ルノーのベーシック・モデルとしてＲ５（サンク）は１９７２年に
デビューしました。パワー・トレーンはルノー４のものを、エンジ
ンも既存のＯＨＶを搭載した保守的なモデルでしたが、垢抜け
たデザインのボディが人気を博し、大ヒット作となりました。
当初は小排気量の仕様のみ設定されていましたが、Ｒ１２
ゴルディーニの後継モデルとして、１９７４年にはＲ５ＬＳが追
加されました。このモデルはＲ１２ＴＳ譲りの１２８９ｃｃ／６８ｈｐ
ユニットを搭載し、あわせてスポーツ・キット（８３ｈｐ仕様）も販
売されて、ワンメイク・レースやラリーが開催されました。
その後、１９７６年のジュネーブ・ショーで、Ｒ５ＬＳの発展型
としてＲ５アルピーヌが発表されました。このマシーンには、ル
ノーがボルボ用に開発したＯＨＶ１３９７ｃｃを圧縮比アップやウ
ェーバー製キャブレター装着により、９３ｈｐまでチューンしたエ
ンジンが搭載され、正にホット・ハッチに相応しい仕様となりま
した。同年ルノーは、長年スポーツ部門を担当していたアルピ
ーヌとは別に’ルノー・スポール’を設立し、Ｆ１やル・マン、そし
てＷＲＣ参戦を行いました。
ただし、ＷＲＣの活動は限定的で、自国開催のモンテカルロ
や耐久色の強いコート・ジボアールなどの限られたイベントへ
の参戦に止まりました。しかしながら、１３０ｈｐにまでパワー
アップされたワークス仕様のＲ５アルピーヌは、小型軽量を生
かして参戦イベントでは度々上位に入賞し、ルノー・スポール
のラリー活動の礎を築き、ラリー専用マシーンであるＲ５ターボ
への発展を導きました。
市販車のＲ５アルピーヌは、若手ドライバーの育成プログラ
ムに活用され、モータースポーツの登竜門となりましたが、ゴ
ルフＧＴＩが登場するとパワーアップが求められました。その対
応策として、１９８２年にはギャレット製ターボを装着し１１０ｈｐ
を発揮するＲ５アルピーヌ・ターボに発展し、後継車であるＲ５
ＧＴターボが登場する１９８４年まで生産されました。 |
ＧＡＬＬＥＲＹ
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