MITSUBISHI LANCER 2000 TURBO
 1979年3月、三菱ランサーはフルモデルチェンジし、ランサーEX
としてデビューしました。ボディ・バリエーションは4ドア・サルーンの
みで、パワー・トレーンはリジット・リアアクスルを持つオーソドックス
な後輪駆動方式を採用、エンジンは4気筒SOHC1410/1597
ccユニットが搭載されました。                      
 当初は、初代ランサーGSRのようなスポーツ・グレードは設定さ
れませんでしたが、三菱は欧州における販売促進を図るため、ラン
サーEXによる国際ラリー参戦を計画し、1979年の東京モーター
ショーには、プロトタイプの’三菱ランサー・ラリー・ターボ’が出展さ
れました。このマシーンには4G63型4気筒SOHC1997ccターボ
エンジンが搭載され、ボディにはフロント・エアダムやリア・スポイラ
ー、そしてオーバー・フェンダーやルーフ・スポイラーが追加される
など、単なるショー・モデルではなく、グループ4のホモロゲーション
取得を目指した実戦的なモデルでした。                
 その後、1981年4月にはこのプロトタイプの市販版として、ラン
サー2000ターボが発売されました。ただし、残念ながらこのエン
ジンは当時の日本の排気ガス規制をクリア出来なかったことから、
欧州のみでの販売となりました。                    
 市販されたランサー2000ターボに搭載されたG63型ターボ・エ
ンジンはECI装着により170HPを発揮し、足回りもあわせて強化
されました。一方、ボディについてはフロント・エアダムとリア・スポ
イラーが追加されたのみで、ランサーEXの高性能版といった位置
付けのモデルでした。                          
 一方で三菱は計画通り、このランサー2000ターボでWRCに参
戦することとなりました。グループ4仕様のワークス・マシーンに搭
載されたエンジンは、市販のG63型をベースにインタークーラー装
着やECIの変更、そしてターボのブースト・アップなどにより、280
HPにチューン・アップが図られ、ボディもオーバーフェンダーの追加
によりプロトタイプに近い形状となりました。              
 そして、1981年4月1日にホモロゲーションを取得し、5月末に
はWRCアクロポリス・ラリーに2台が参戦しました。ドライバーには
オペルで活躍していたアンダース・クーランと三菱のワークス・ドラ
イバーを長年務めたベテラン、アンドリュー・コーワンを起用し、ギリ
シャの悪路に挑みましたが、2台共リタイアに終わりました。    
 この年は、アクロポリスのほか1000湖ラリーとRACラリーに出
場して完走を果たし、マシーンの熟成を図りました。         
 翌1982年も前年同様、WRC数戦に出場し、中でも1000湖ラ
リーにおいては、ペンティ・アイリッカラのマシーンが3位入賞を果た
し、ポテンシャルの高さを証明しました。                
 しかしながら、翌1983年から施行されるグループB規定に向け
て、各社が専用マシーンの開発を進める中、オーソドックスな後輪
駆動のランサーでは勝算が無く、ラリー活動そのものも中途半端で
市販車の販売促進効果も見込めなかったことから、ランサー2000
ターボによる三菱のワークス活動は、翌1983年の1000湖ラリー
参戦を最後に打ち切りとなりました。                  
 なお、国内においてはランサーEXのスポーツ・バージョンとして、
1980年2月にG62型1800ccエンジンを搭載したモデルが追加
され、その後1981年11月にはG62型にターボを装着し135HP
を発揮する通称’ランタボ’が登場、さらに1983年11月にはインタ
ークーラーが追加されて160HPにパワーアップが図られ、ハイ・パ
ワー・モデルとして好評を博し、全日本ラリーなどの国内イベントで
大活躍しました。                             
 一方、三菱の国際ラリー活動については、ランサー2000ターボ
の後継車として、グループB規定に基づくスタリオン4WDラリーの
開発が進められました。このマシーンは、当時WRCを席巻してい
たアウディ・クアトロを目標とし、試作車による精力的なテストが行
われてホモロゲーション取得を目指しましたが、1984年に市販車
の生産計画中止が決定し、WRC参戦も見送られました。    
 なお、マシーンの開発はその後も継続し、プロトタイプが出場可能
なイベントへの参戦が行なわれ、その技術が後のギャランVR−4
やランサー・エボリューションに生かされることとなりました。
GALLERY
1982
LANCER 2000 TURBO Gr.4
1000 LAKES RALLY No.7


MITSUBISHI LANCER 2000 TURBO WRC RESULT
YEAR
EVENT
CAR
Gr.
REGURATION 
No.
DRIVER/
CO-DRIVER
CAR
No.
REZULT
KIT LIST
1981
ACROPOLIS LANCER 2000 TURBO
4
St944.191 A.Kullang/
B.Berglund
7
RETIRED
fuel line
LANCER 2000 TURBO
4
St944.192 A.Cowan/
J.Syer
14
RETIRED
alternater
1000 
LAKES
LANCER 2000 TURBO
4
St944.191 A.Kullang/
B.Berglund
7
12
LANCER 2000 TURBO
4
St944.192 A.Laine/
J.Piironen
24
10
RAC LANCER 2000 TURBO
4
St944.191 A.Kullang/
B.Berglund
11
9
LANCER 2000 TURBO
4
St844.874 A.Cowan/
D.Taylor
24
RETIRED
accident
1982
1000 
LAKES
LANCER 2000 TURBO
4
St944.192 P.Airikkala/
J.Piironen
7
3
MINI RACING
702
LANCER 2000 TURBO
4
St944.703 A.Kullang/
B.Berglund
10
RETIRED
engine
SANREMO LANCER 2000 TURBO
4
St944.192 A.Kullang/
B.Berglund
8
7
RAC LANCER 2000 TURBO
4
St944.191 P.Airikkala/
J.Piironen
10
RETIRED
accident
LANCER 2000 TURBO
4
St944.703 A.Kullang/
B.Berglund
15
RETIRED
cluch
1983
1000 
LAKES
LANCER 2000 TURBO
4
GJI 9827 H.Toivonen/
C.Wrede
30
RETIRED
GALLERY TOP / MENU