１９７４年のＷＲＣサファリ・ラリーに出場したアルピーヌＡ１１０です。前年から始まった世界選手権ラリーにおいて６
勝を挙げ初代タイトルを獲得したアルピーヌは、翌１９７４年も２年連続タイトル獲得を目指し、準備を進めていました。
　ところがこのシーズンは世界的なオイル・ショックの影響により、ＷＲＣ初戦のモンテカルロがキャンセルされるとい
う波乱の幕開けとなり、ワークス活動も縮小されることとなってしまいました。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　そんな中、親会社ルノーの意向もあり、アルピーヌ・ルノー連合チームとしてサファリ・ラリーに初挑戦することとなり
ました。連合ワークス・チームは、２台のアルピーヌＡ１１０と２台の新鋭ルノー１７ゴルディーニの計４台参戦し、ドラ
イバー陣にはＡ１１０にＢ・ダルニッシュとＪ・Ｌ・テリエを、Ｒ１７ゴルディーニにはＪ・Ｐ・ニコラとＪ・Ｆ・ピオを起用し、数ヶ
月に及ぶ現地テストを実施のうえ、万全の体制でラリーに臨みました。しかしながら、ラリーは豪雨により最悪のコー
スコンディションとなり、軽量で小さなＡ１１０は泥濘に捕まってスタックし、２台共サスペンション・トラブルやエンジン・
トラブルによりリタイアし、Ｒ１７も同様にリタイアしたためアルピーヌ・ルノー勢は全滅してしまいました。　　　　　　　　
　なお、１９７４年のＡ１１０グループ４仕様はフェンダーがフレア型からバルーン型に変更されていますが、サファリ出
場車は前年と同様のフレア型となっています。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　モデルはプロバンスムラージュ製レジンキットを組んだものです。Ａ１１０はラリー車の中で最も好きなマシーンであ
り、１／２４のユニオン（エレール）製プラモデルを作ったのが模型復活のきっかけだったのですが、１／４３では初め
て製作しました。プロバンス製のこのキットはボディ・フォルムが素晴らしく、１／４３ではベストだと思います。ただし、
古いキットゆえ部品数が少なく、ディテールがかなり省略されており、作り手の腕の差が出るキットであることから、な
かなか作る気になれずストック棚に積んでありました。そんな中、２００７年のクラブのテーマが”サファリ・ラリー”であ
ったことから、Ｒ１７ゴルディーニと同時に仕掛けていたのですが、窓枠の塗装に失敗してしまい、展示会にも間に合
わず放置してしまいました。しかしながら、２００８年テーマの”ツールド・コルス”において、Ａ１１０を外せないことから
その試金石として、作り掛けであったこのキットをようやく完成させました。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　製作にあたっては、ボディのフォルムには手を加えず各部にディテール・アップを施しています。具体的にはフロント
マーカーランプやリア・ランプの透明レジン置き換え、ドア・ノブの別パーツ化、フロントおよびリアのエア・インテーク部
に洋白線埋め込み、室内においてロールゲージ・シートベルト・消火器の追加等を行いました。また、サファリ特有の
ウイング・ランプやリアのストラップやランニング・ボード、マッド・フラップ等はジャンク・パーツからでっち上げました。　
　ただし、Ａ１１０のサファリ出場車の詳細な資料はほとんど無いため、ディテールはかなり適当なので、資料が見つ
かれば作り直したいところです。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　華奢なボディで、サファリ・ラリーには不似合いな印象のアルピーヌＡ１１０ですが、完成してみるとサファリ仕様の装
備が意外と似合っており、個人的には結構気に入っています。