１９７２年秋、プジョーの新世代ＦＷＤ小型車として１０４が登場
しました。ボディ・バリエーションは当初、ピニンファリーナのデザ
インによる４ドア・セダンのみでしたが、翌１９７３年にはプジョー
の伝統に則り、セダンのホイール・ベースを１９０ｍｍ縮め、リア
シートを＋２としたクーペがデビューしました。
当初はセダンと同じエンジン（９５４ｃｃ／４６ｐｓ）が搭載されて
いましたが、クーペには当時のプジョーとしては珍しくスポーティ
ーな性格が持たされており、翌１９７５年には１１２４ｃｃ／６６ｐｓ
に強化されたエンジンを搭載したクーペＺＳが登場しました。
これは同クラスのライバルであるルノー５ＴＳ（１２８９ｃｃ／６８ｐ
ｓ）に対抗すべく追加されたモデルで、プジョーはルノーと同様に
このマシーンを用いて積極的にラリー参戦を始めました。
それまでのプジョーは４０４や５０４による耐久ラリーでの実績
はありましたが、スプリント・ラリーに出場するベース車が無く、
自国開催のツールド・コルスでさえも参戦していませんでした。
１０４クーペＺＳの登場により、プジョーはようやく１９７６年の同
ラリーに３台のワークス・カーを投入し、このうちハンヌ・ミッコラの
ドライブした１台が１０位完走を果たしました。翌１９７７年の同ラ
リーにおいても１０位で完走し、同車にスポーティーなイメージを
持たせることに成功しました。
その後、１９７９年にはルノー５アルピーヌに対抗すべく、ソレッ
クス・ツイン・キャブ装着により１３６１ｃｃ／９３ｐｓを発揮するエン
ジンを搭載したＺＳ２が追加されました。このモデルにはラリー用
のオーバーフェンダーやエンジン・チューン・キットなども用意さ
れ、ワンメイクレースも開催されるなど、ルノー５アルピーヌや同
クラスの”イタリアン・ホット・ハッチ”アウトビアンキＡ１１２アバ
ルトと共にモータースポーツの入門車として人気を博しました。
１９８０年代になるとクーペＺＳはセダンと同じエンジンに換装さ
れ、その”ホット・ハッチ魂”は２０５ＧＴＩに引き継がれることとなり
ましたが、生産自体は１９８８年までの長きに渡り続けられまし
た。 |
ＧＡＬＬＥＲＹ
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