ＪＩＤＥは、１９６０年代終盤のル・マンにおけるフォードＧＴ４
０の活躍に触発されてカー・デザイナーのジャック・デュラン
が１９６９年に開設したガレージ・メーカーです。ＪＩＤＥで製作
されたモデルは純粋なレーシング・プロトタイプで、当時フラ
ンスのモーター・スポーツを席巻していたアルピーヌＡ１１０
を目指して計画されました。
量産モデルは、オリジナルのプラットフォーム＆鋼管フレ
ーム製シャーシとＦＲＰ製ボディにルノー製エンジンをミッド・
シップに搭載したもので、エンジンは１１００ｃｃ、１３００ｃｃの
ルノー製ユニットとそれぞれのゴルディーニ・チューンから選
べミッションはルノー１２用フロント・アクスルをトランス・アク
スルに流用しました。また、完成車とあわせてボディ・キット
も販売されました。その後、ルノー１６ＴＳ用の１６００ｃｃエン
ジンが追加され、１９７２年にはトップ・モデルとして、フォー
ミュラー・ルノー用ゴルディーニ・チューンの１５９６ｃｃ／１５０
ｈｐエンジンを搭載した１６００Ｓが登場しました。
１６００Ｓは、僅か６４０ｋｇに抑えられた車重とあわせて非
常にコンペティティブなスペシャル・モデルに仕上げられまし
た。ＪＩＤＥはプロトタイプが出場可能なフランス国内のラリー
やヒル・クライムなどに積極的に参戦して好成績を挙げまし
たが、１９７４年に勃発したオイル・ショックにより、ファクトリ
ーは閉鎖されました。
一方、ジャック・デュランは新たにスコラ（ＳＣＯＲＡ）社を設
立し、ルノーのコンポーネンツを利用したスペシャル・モデル
の製作を継続しました。エンジンは１６００ｃｃのほか、ルノー
１７ゴルディーニ用１７９８ｃｃ／１７５ｈｐが用意され、数種類
のボディ・タイプも選べました。軽量ボディに、よりパワフル
なエンジンを搭載したスコラ社製モデルは１９７０年代、ツー
ルド・フランスなどのフランス国内イベントで侮れない活躍を
みせました。
スコラ社は、その後もエンジンやボディ・バリエーションに
変更を加えながらスペシャル・モデルの販売を続け、１９８８
年にはルノー５ターボ・マキシ用の３５０ｈｐユニットを搭載し
た’ＳＣＯＲＡ ＭＡＸＩ’が登場しましたが、スコラ社も１９９０
年には閉鎖となりました。
なお、ＪＩＤＥはエンスージアストからの人気が非常に高か
く、ファクトリー閉鎖後もボディ・キットのコピーが製作・販売
されたそうです。 |
ＧＡＬＬＥＲＹ
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