１９７０年代を代表するスポーツ・サルーンであるＢＭＷ２００２
は１９６８年１月にデビューしました。１クラス下のＢＭＷ１６００
−２のボディに２リッターユニットを搭載した高性能モデルである
２００２は人気を博し、モータースポーツのベース・マシーンとして
も多用されました。
搭載されたエンジンのスペックは、ＳＯＨＣ１９９０ｃｃシングル・
キャブ仕様１００ｈｐでしたが、１９６８年９月には高性能版として
ツイン・キャブにより１２０ｈｐを発揮する２００２ｔｉが登場しました。
さらに１９７１年４月には、クーゲルフィッシャー製メカニカル・イ
ンジェクションにより１３０ｈｐを発揮する２００２ｔｉｉに発展しました。
２００２ti／２００２tiiはデビュー直後からヨーロッパ各地のツー
リングカー・レースを中心としたモータースポーツで大活躍し、Ｂ
ＭＷのイメージ・アップに貢献しました。
ラリーにおいては、Ｈｅｌｍｕｔｈ Ｂｅｉｎが１９６９年・１９７０年のド
イツ国内ラリー選手権のチャンピオンを獲得し、翌１９７１年から
はワークス・チームとしてヨーロッパ・ラリー選手権に参戦しまし
た。ワークス・マシーンにはＤＯＨＣ８Ｖ／１９５ｈｐにパワー・アッ
プされたエンジンが搭載され、ドライバーには経験豊富なトニー・
フォールとラウノ・アルトーネンを起用し、万全の体制で国際ラリ
ーの舞台に臨みました。しかしながら、パンクやブレーキ・トラブ
ル、そしてディファレンシャルの破損などが頻発し、この年はな
かなか結果を出すことが出来ませんでした。一方、２００２tiは基
本性能の高さから多数のプライベーターに愛用され、オランダ、
ベルギー、ポーランドなどのラリーではワークス勢を抑えて勝利
を挙げました。
翌１９７２年になるとようやくワークス・マシーンの熟成が進み、
ドライバーには若き日のビヨルン・ワルデガルドやアキム・バルン
ボルドが起用され、ポルトガル・ラリーで念願の初優勝を飾りま
した。翌１９７３年、ワークス・マシーンはシュニッツァー製１６Ｖヘ
ッド装着により２３０ｈｐにパワー・アップが図られ、この年から始
まった世界ラリー選手権の主なイベントに参戦しました。そして
オーストリアで開催されたＷＲＣアルペン・ラリーでＡ・バルンボ
ルドが優勝を飾り、ＲＡＣラリーでもＢ・ワルデガルドが終盤まで
上位を走るなどトップ・クラスの活躍をみせました。しかしなが
ら、当時勃発したオイルショックの影響により、ＢＭＷは翌１９７
４年のワークス参戦の中止を決定しました。
ワークス・チーム撤退によりプライベーターの参戦のみとなった
ものの、パワフルなエンジンを搭載した２００２tiはその後も侮れ
ない活躍をみせ、ローカル・イベント等では数々の勝利を挙げま
した。そして１９７５年７月、２００２の後継車である３シリーズが
デビューすると２００２tiによるラリー活動は終焉を迎えました。
なお、２００２系のターマック・ラリー用のプロトタイプ・モデルと
してＢＭＷ３００２が１９７０年に製作されました。このモデルは、
２００２のフロント・ノーズを延長し、２８００ＣＳ用の６気筒２７８８ｃ
ｃユニットを搭載したもので、フル・チューンにより２７５ｈｐを発揮
するエンジンに対し、車重わずか９６０ｋｇというモンスター・マシ
ーンで、ラウノ・アルトーネンのドライブにより同年のツールド・コ
ルスに出場しました。しかし強大なパワーに足回りが伴わず、ラ
リーの結果はパンクによるリタイアに終わり、このプロトタイプが
日の目を見ることはありませんでした。 |
ＧＡＬＬＥＲＹ
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1973
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BMW 2002ti Gr.2
MONTECARLO RALLY No.46 |
BMW 2002ti Gr.2
MONTECARLO RALLY
No.255 |
BMW 2002ti Gr.2
SANREMO RALLY No.10 |
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1975
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BMW 2002ti Gr.2
PORTUGAL RALLY No.2 |
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