フィアット１２８は、フィアット初の前輪駆動車として１９６９年３
月デビューしました。エンジンとミッションを直列のままフロントに
横置きとしたＦＷＤ（ダンテ・ジアコーザ式）を採用し、コードナン
バーＸ１／１として開発されました。なお、この車と同じ駆動方式
を採用したパイロットモデルとして、１９６４年にアウトビアンキ社
からアウトビアンキ・プリムラが発表されています。　　　　　　　　
　エンジンについても新設計の４気筒ＳＯＨＣ１１１６ｃｃ（５５ｐｓ）
ランプレディ・ユニットが搭載され、サスペンションには４輪独立
懸架が採用されるなど、非常に革新的なモデルとして登場しま
した。ボディ・バリエーションは当初２／４Ｄセダンのみでしたが
１９７１年にホイールベースを縮小して、クーペ・ボディを載せた　
１２８スポルト・クーペが８５０スポルト・クーペの後継モデルとし
て追加されました。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　１２８に搭載されたエンジンは、ショートストロークの高回転型
であり、足回りも４輪独立懸架によりスポーティーであることか
ら、モータースポーツのベースとしても人気を博しました。　　　　
　しかし、従来のエンジンではアンダーパワーであったことから、
ボア・アップにより１２９０ｃｃ（６７ｐｓ）にパワー・アップされたユニ
ットが開発され、このエンジンを搭載した２Ｄセダン”１２８ラリー”
が１９７１年に追加されました。なお、同エンジンはスポルト・ク
ーペのトップ・モデルにも搭載されています。　　　　　　　　　　　
　なお、１２８にはアバルト製のスポーツ・モデルは存在しません
でしたが、ジャンニーニの手でウェーバー製キャブ装着当により
チューンされた　”ジャンニーニ１２８”が市販されました。　　　
　中でも”ジャンニーニ１２８ラリー”には、オリジナルの１２８には
ない１５８０ｃｃユニット（１２９０ｃｃユニットのストロークを延長）に
ツイン・チョークを装着して９３ｐｓを発揮するエンジンを搭載した
　”ジャンニーニ１２８ラリー１６００”がトップ・モデルとしてライン・
アップされました。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　１２８はその後、エンジンのツイン・チョーク化によるパワー・ア
ップ（１１１６ｃｃ：６４ｐｓ／１２９０ｃｃ：７５ｐｓ）やボディ・バリエーシ
ョンの追加、マイナー・チェンジ等を経ながら生産が続けられ、後
継車であるリトモのデビュー時に１３００が、そして１９８５年に
は１１００の生産が終了しました。